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映画『ALWAYS 三丁目の夕日'64』
これはいい。娯楽傑作です。主演の売れない小説家役吉岡秀隆さんは、ホント、上手い役者のか大根なのか、いずれにせよ、不思議な魅力のあるアクターですね。
三丁目の夕日、第3作。1964年って、東京オリンピックの年ですね。茶川家は白黒テレビを、向かいの鈴木オートはカラーテレビを買いました。そういえば、私事ですが、我が家もそのころ白黒テレビを買いました。
今回のストーリーは、鈴木オートの従業員女性整備工六ちゃんの恋愛と、茶川家の新しき小説家の進路問題を柱に展開してゆきます。おなじみのキャラクターがしっ...
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2012/01/22 21:40 |
『乳房』を読む
伊集院静著、文春文庫、税別476円。
一九九〇年代、著者四十歳のときに刊行された短編集です。当時、吉川英治文学新人賞を受賞されています。全作品を読んだわけじゃないけれど、もしかしたら伊集院さんの最高傑作集なのかもしれません。
なんといっても『乳房』の完成度の高さは圧巻です。血液の癌で死んでいく妻との病院でのやりとりには、思わず涙ぐむ読者も多いことでしょう。しかし、伊集院さんの分身である語り手の男は、やはり無頼派です。そんなに甘い生き方をしてきた人間じゃありません。それだけに、よけい、彼の悲し...
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2011/12/19 09:47 |
『受け月』を読む
伊集院静著、講談社文庫、税別552円。
野球を愛した、いろんな職種・年齢の人生が紡ぎだされています。短編7作品。表題作は社会人野球から引退間近な老監督が主人公です。人生の哀歓がしみじみと描かれています。
伊集院さんはなかなか野球好きみたいですね。こういう執筆の方法もいいかもしれません。
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2011/12/19 09:36 |
『離婚』を読む
色川武大著、文春文庫、税別562円。
フリーライターの男と、生活力の乏しい女との離婚後の奇妙な共同生活を描いた短編集です。こんな夫婦形態って、現実にはありそうもありません。しかし、ちょっぴり、いや相当に無頼な生活感覚が奇妙な魅力を生み出しています。
本の帯の文句が、傑作でした。<「いねむり先生(伊集院静)のモデル 色川武大の直木賞受賞作>ですって。あの世で色川さんが怒っておられるでしょうね。それとも、案外笑っておられるか。
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2011/12/19 09:27 |
映画『ミッション・インポッシブルGP』
トム・クルーズ主演『ミッション:インポッシブル』シリーズ第4作です。今回の舞台は、ロシアのクレムリン、アラブ首長国連邦ドバイにある世界一超高層ビル、そしてインドのムンバイ。
アメリカの秘密スパイ組織に属するトム・クルーズ演じるイーサン・ハントが組織の手で、ロシアの監獄から救出され、登録を抹消された末、「ゴースト・プロトコル(架空任務)」を命じられます。それは、核戦争を狙う、狂った科学者の野望を打ち砕くこと。
例によって007以来の古典的な米露対立構図を土台にしたスパイアクションなのですが、い...
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2011/12/19 09:16 |
『ねむりねこ』を読む
伊集院静著、講談社文庫、税別552円。
現代の無頼派作家、伊集院さんのエッセイ集です。たぶん再々婚になると思いますが、女優であった篠ひろ子夫人の故郷である仙台に家を構え、犬と夫人と暮らしながらも、全国各地へ、あるいは美術館めぐりで海外へ取材旅行に出かけ、酒におぼれ(実際アルコール中毒だった時期もあるとか)、ギャンブルに狂い、どうやら娼婦とも語り合い、それでいて締切に追われる流行作家でもある。若者に向かっては、心棒を持て、孤独に生きよ、と檄をとばす。絵に描いたような見事な無頼派、硬派の男性の生き...
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2011/12/03 11:36 |
『三年坂』を読む
伊集院静著、講談社文庫、税別448円。
伊集院さんの第一作品集です。漢字を多用した、端正な文章が印象的。
すし店が開店した日に事故死してしまった母親のことを追慕する表題作が、とくい良いですね。他の作品にも大きな事件は現れないものの、どれも長い抒情詩を読まされているようで、読後感がとても心地よいものです。この特異な作家の、心の原点を見ることができた気がします。
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2011/12/03 11:21 |
『マンボウ家族航海記』を読む
北杜夫著、実業之日本社文庫、税別600円。
斉藤茂吉の二男にして、精神科医。そうして、なにやらケッタイなユーモア・エッセイスト。若いころ、北さんの『マンボウ』シリーズを貪るように読んだものです。遠藤さんの『狐狸庵』と双璧でしたね。そんなおかしな文豪北杜夫さんが老齢を迎えて、ソウウツ症状のため、狂ったように株取引に手を出し、ドタバタ航海する家族漂流記が本書です。笑っていいのか、同情すべきなのか。
そんな万年青年、マンボウさんが亡くなってしまわれました。ご冥福を祈るとともに、ありがとうございまし...
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2011/12/02 08:15 |
『孤独な夜のココア』を読む
田辺聖子著、新潮文庫、税別438円。
おせいさんお得意の恋愛短編集です。主人公たちは二十代後半から三十代の女性。この作品群が成立した時代には、会社で働くOLたちは、二十代前半で寿退社するよう運命づけられていたのですね。ちょっぴり懐かしく、ほろ苦く、そして甘いココアを召し上がれ。・・・と書いたら、へたな宣伝文句みたい。
おせいさんは何歳になられたのでしたか。いや、女性に年齢を尋ねてはいけません。
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2011/12/02 08:05 |
映画『マネーボール』
十年近く前の大リーグで、のちにマネーボール理論と呼ばれる統計を重視した理論を駆使して、有名球団の三分の一しか予算を持たない弱小チーム、オークランド・アスレチックスを強豪に育て上げたGMとその補佐とを主人公にした、実話の映画化です。元大リーガーでフロント入りしているGMに、あのブラッド・ピット。有名大学の経済学部を出て、パソコンを駆使したデータ分析で選手補強、戦略を展開するデブッチョの補佐役に、ジョナ・ヒル。
原作の翻訳本は何年も前に読んでいます。なぜ今頃になって映画化されたのかと、気になって鑑...
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2011/11/19 22:58 |
映画『セカンドバージン』
出版界で活躍する45歳の独身キャリアウーマンが、28歳のネット証券会社社長と不倫恋愛に陥ります。もとになったテレビドラマ版は、NHKらしからぬドロドロした恋愛劇だというので、けっこう評判をとりました。主な配役は、年上の出版社役員に鈴木京香さん、青年実業家に長谷川博己さん、彼の妻に深田恭子さん。これはテレビ版と同じ顔ぶれです。映画版では、現在の舞台をマレーシアへ移し、なんども回想シーンを挟み込む手法が採用されていました。不倫、夫婦関係を理解しやすくするための配慮なのでしょうか。
ところが・・・。...
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2011/10/22 21:34 |
『銀のみち一条』を読む
玉岡かおる著、新潮文庫、税別(上)(下)各590円。
兵庫県の但馬と播磨の境にあった生野銀山が舞台。時代は明治。政府が招聘したフランス人技師の手で近代化がすすめられたとはいえ、まだまだヤマの暮らしは、前近代的です。そんな封建時代に生きた、地元名士の娘、鉱山労働者の娘で医師宅の奉公人、同じく鉱山労働者の娘で売れっ子芸者という3人の女。そして、彼女たちに惚れられる一人の鉱山労働者。彼は、カシラとして労働者たちの尊敬を集める、大したオトコマエなのです。
このところ玉岡さんは、ご自身が住んでおられる...
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2011/10/09 17:57 |
『探偵はバーにいる』を読む
東直己著、ハヤカワ文庫、税別760円。
ススキノ探偵シリーズの第1作。映画の原作は、これじゃなく、第2作の『バーにかかってきた電話』だそうです。でも、これも、けっこう愉快。主人公のどこまで本気なのか才能があるのか、よくわからない可笑しさに興味をそそられ、ついつい読みふけってしまいました。
ただ、映画よりさらに、暴力団の人たちが、前へ前へと出すぎているような気はしました。
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2011/10/09 17:44 |
映画『夜明けの街で』
東野圭吾原作。岸谷五朗、深田恭子主演。
ごくありふれたサラリーマンが、派遣社員のオンナの子と不倫します。本人がどれだけ恋愛だ本気だと言い張ろうと、不倫は不倫。あの手、この手で妻子にばれないように・・・。映画はそんな愚かしくも甘美な不倫を前面に押し出した脚本になっています。原作にあった不倫相手の女性が殺人者かもしれないというミステリアスな部分が、すっぽり抜け落ちていました。映画としてはこれもありかな。それにしても、いつのまに、深キョンは不倫相手ナンバーワン女優になっちゃったのかなあ。それはそれで...
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2011/10/09 17:36 |
『ダブル・ファンタジー』を読む
村山由佳著、文春文庫、税別495円(上巻)+495円(下巻)。
三十五歳の女性脚本家が夫の緩やかな束縛を抜け出して精神的な自立をはかると同時に、自分の性衝動にも忠実に生きようとする姿を描いた恋愛小説です。出版社が用意した宣伝文句は、「抑圧を解放した女性が、官能の果てに見たものは? 作家村山由佳が新境地を切り開いた金字塔的小説」というもの。たしかに官能小説であり、ポルノ小説という分類も可能でしょう。ただ、主人公から逃げられた夫の反応が、穏やか過ぎて現実離れしており、お話にしても甘いんじゃないかと...
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2011/09/20 21:33 |
映画『探偵はBARにいる』
札幌の歓楽街ススキノのバーにいる探偵。ちょっと三枚目だけれど、けっこうハードボイルドな主役を大泉洋さんが演じておられます。相棒役の松田龍平さんがまた不思議な存在です。北大農学部の研究員なのに、空手の師範でめっぽう格闘技に強くて頼りがいのある、探偵のボディガードのような役どころです。そして、ストーリーを引っ張る謎の美女に小雪さん。
原作はシリーズ化されている推理小説だそうです。かなり衝撃的な暴力シーンもあるのにわくわくしながら観られたのは、たぶん探偵と相棒のとぼけたキャラクター設定のせいでしょう...
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2011/09/18 20:06 |
『果つる底なき』を読む
池井戸潤著、講談社文庫、税別648円。
著者はこんど直木賞を受賞されました。本作は著者お得意の銀行もの。平成十年度の江戸川乱歩賞受賞作だそうです。ということは少なくともすでに十数年以上キャリアのある中堅作家ですね。
銀行の視点で債権回収を担当していた友人が突然死亡します。事故死か他殺か。主人公はじわじわと事件の核心に迫っていきます。一気に読みました。うまいなあ。
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2011/09/11 21:37 |
『露の玉垣』を読む
乙川優三郎著、新潮文庫、税別514円。
越後の新発田藩を舞台にした連作時代小説集です。新発田藩は米どころの越後にありながら毎年のごとく水害に襲われ、その結果藩財政は常に逼迫していました。それゆえ藩士たちの生活もまた困窮を極めました。
この短編集は、現実に藩家老として活躍した人物が書き残した家臣団の系譜がもとになっています。武士といえども、庶民と同じような爪に火を灯すような暮らしを送っていたことがよくわかります。乙川さんらしい厳しくも優しい視線が、各作品の隅々にまで行き渡っています。
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2011/09/11 21:31 |
『仏果を得ず』を読む
三浦しをん著、双葉文庫、税別600円。
まほろ駅前シリーズでおなじみ三浦さんの青春小説です。主人公は三十歳の文楽の義太夫。人形浄瑠璃、文楽などという古典芸能を鑑賞した経験はありません。文楽の舞台は、主役である人形そのものと、人形遣いと語り手である義太夫と伴奏をつとめる三味線弾きとで構成されているそうです。そんな当たり前のことも知りませんでした。まして、どんな演目があるのかまったく知りません。たぶん現実に公演を観に行けば、退屈で居眠りしてしまうのでしょう。
著者は、そんな無知な読者を一気に文楽...
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2011/09/03 10:00 |
『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り』を読む
坪内祐三著、新潮文庫、税別895円。
なんだか新潮文庫ばかり読まされている気がします。それだけ本作りがうまい出版社なのでしょうか。
さて、幕末の慶応三年生まれの七人とは誰か。夏目漱石、正岡子規、尾崎紅葉、幸田露伴、宮武外骨、斉藤緑雨、南方熊楠。ジャーナリストであり、小説家であり、詩人ですね。ときは明治前期ですから、文章が言文一致体へ転換を図っている時代です。明治の文学者の伝記、といっても七人の動きを同時進行で追ってゆくので、けっこう煩雑です。しかも(長くなり過ぎたらしく)追跡が明治二十年代で...
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2011/09/03 09:49 |